腰痛

腰痛Backache

腰痛

ひと言に「腰痛」といっても、その症状を引き起こす原因はさまざまです。

また腰痛疾患を起因として他の症状を発現させることも珍しくありません。整形外科にかかる20%以上の方々が何らかの腰痛を訴えて来院されるといわれています。

そして、はっきりした原因疾患が見当たらないために、患者様に病態を十分に説明できないものを整形外科領域では「腰痛症」と呼んでいます。鍼灸臨床では、数多くある適応疾患の中でも、とりわけ「腰痛」は「肩こり」と並んで主要な疾患となっています。

人間が二本足で立ったときから始まったとさえ言われる「腰痛」。
では腰痛にはどういったものがあるのでしょうか。

腰痛の種類

1.背骨やその周辺が関係して起こる痛み

急性、慢性のどちらの腰痛も、主に腰椎や仙骨周辺部に原因があることが多いです。各背骨の椎間関節・関節靭帯・椎間板、脊柱起立筋などの筋肉・筋膜、脊髄から出る末梢神経(神経根)などで、それら組織の疲労や老化が生活の中での姿勢や動作によって腰痛を引き起こすといわれています。

腰痛を起こす疾患:腰椎椎間板ヘルニア、ぎっくり腰、脊椎分離症、脊椎すべり症、腰部脊柱管狭窄症、外傷性腰痛(捻挫・打撲・骨折など)、骨粗鬆症など

2.その他の原因が関係して起こる痛み(関連通)

腰痛を起こす疾患:腎臓結石・尿管結石など尿路系疾患、骨盤内臓器(子宮・卵巣、直腸)の炎症や腫瘍、先天的股関節脱臼や股関節周囲の外傷、精神的な要因など

ぎっくり腰の種類

1.椎間関節性腰痛

腰の椎間関節部に捻挫や軽い亜脱臼を起こしてしまうのが、椎間関節性腰痛。同じ姿勢を続けたことで腰部に偏った負荷がかかり、急にそれまでと違う向きの力が加わると、疲れてこわばっていた筋肉や靭帯がその力を支えきれずに、関節部が伸びきって捻挫のような状態になります。
起こしやすい箇所は、主に椎骨の間、椎骨と仙骨の間の関節です。関節間には神経組織が豊富に集まっているので、筋肉性の腰痛より痛みを感じる所要時間は早いです。その痛みは急激で、その場で動けなくなってしまうこともあります。

2.筋・筋膜性腰痛

柔軟性に富む筋肉は、オーバーワークで血行循環が悪くなり、酸素が欠乏し、疲労物質を蓄積して、硬く緊張した「コリ」の状態を作ります。背筋が疲れ切った状態で、ゴルフや野球などで強い捻りの力がかかると、その動きに筋肉がついていけず、過剰に伸びきって筋肉ばかりでなく筋肉を包む筋膜にまで炎症を引き起こします。
炎症を起こしやすい筋肉は、表面上の筋肉でなくおもに深層にある、最長筋・腸肋筋・多裂筋・回旋筋と呼ばれる筋群です。グッと来た直後の痛みはまだあまりひどくなく、むしろ時間が経つと段々と痛くなってくるのが特徴です。

鍼・灸の腰痛治療

鍼灸治療では主に、腰、背中はもちろん、お腹周りや腕、手、足の各所にあるツボ(経穴)を各種の腰痛の状態によって使い分けて、選択、施術していきます。
腰が痛いのだから腰だけに治療すればよいのでは?と思われるかもしれませんが、いわゆる「局所治療」という方法よりも、骨格.筋肉.血流を考慮した全体的な治療のほうが遥かに治癒のスピードが早く、効率的です。鍼灸治療の効果をより長持ちさせるためにも、また腰痛の再発を予防するためにも、当院では、まず腰痛になった要因を確実に把握し、局所的でない、全体的な治療を患者様に提供しております。

鍼灸が腰痛に効くのはなぜ?

多くの腰痛の背景には、血流量の不足、もしくは過剰の状態があります。鍼灸治療を行うと、血流量の改善が起こります。血流が改善するということは、コリ固まっていた筋肉に血液が巡り、各関節にも潤滑液が満たされ、全身が柔らかくなることを示しています。急性の激しい腰痛では、炎症部に滞ったブラジキニンなどの痛み物質や活性酸素を解消し、アイシングや安静だけよりもはるかに早く痛みを和らげます。
慢性の腰痛では、蓄積していた乳酸などの疲労物質が取り除かれるので、疲労感が減り、しつこい痛みやだるさが解消されやすいのです。 急性の痛みが治まった後は、休息、適度な有酸素運動(=ウォーキングや水泳など)、ビタミンB群やビタミンCなどの栄養素の補給など必要に応じて行うことを勧めます。